boléro

music & words: HARA, Ho_ly

 

壁と天井のちょうど間あたりにはりついた小さなトカゲ

僕はぼんやりと眺めてる 四角い無音の空間で

 

その時をただじっと待っている

自由を奪われながら 苦にもしないで

 

理想とか現実とか 嫉妬とか愛情とか

もうどうでも良くなった

 

でも 信じてもらえるかわかんないけど   

僕は少し 嬉しかったんだ

 

さっきから こめかみあたりを撫でている

無口で 従順なそいつは

 

きっといつまでも 変わらないんだろう

ひたすらに ルーチンワークをこなしていくだけなんだろう

 

引き金に従って 弾を吐き出すだけなんだろう

 

言葉とか気持ちとか 真実とかウソとか

もう意味はなくなった

 

でも 信じられないかもしれないけど

僕は少し笑ったんだ

 

さっきまで そこにいたトカゲは

どこか 自分の居場所に帰っていったようだ

 

いつだって 尻尾を切って逃げることはできたけど

僕はそうしなかった

 

さっきまで 死んでいたような僕は

この間際になって どうやら目覚めてしまったようだ

 

覚醒シテル


〈解説:Ho_ly〉

 

HARA氏が初めて持ってきた曲です。

 

Aメロのリフだけ作ってきたので、Bメロ以降の展開やメロディラインは僕が作りました。

 

HARA氏はミドルテンポが得意なので、いかにもという感じの曲調です。

 

わりと初期に作ったので、アルバムを作る際に「他の曲と合わせて聴くと浮いちゃうんじゃないか」と

HARA氏本人からアルバムから外すことも案として出たのですが、

僕的にはこの曲がある種箸休めというか楔というか、フックとしてあった方がいいなと思ったので

最終的に入れることになりました。

 

歌詞は原案をHARA氏が持ってきまして、なんともハードボイルドな内容で

「こんな一面もあるんだ」と思った記憶がありますが、

それを譜割りに合わせて僕がリライトしています。

 

内容は非常に具体的でして、ある人物(その筋の人だと思われる)が、

失敗を犯してしまい、場所もわからない部屋に監禁されてしまいます。

そこで拳銃を突きつけられ、まさに今殺されようとしている最中に、

なぜかその人物は自分の意識が覚醒されていくのを感じていく、というものです。

 

最初タイトルは「覚醒」だったんですが、

僕が間奏を作る際に、「拳銃を突きつけられて覚醒している時に、もし頭に音楽が流れるとしたら何の曲だろう?」とふと疑問に思いまして、「ボレロ」かな?と。

なぜか自分が死に瀕しているのに頭には「ボレロ」が流れている。

そんな場面を想像しながら間奏を作ったんです。

 

なので、「覚醒ボレロ」となりました。

ソロもボレロをもじったものをライブでは演奏していたんですが、

レコーディングの時に、「なんかソロがしっくりこない」と思いまして、

完全なインプロヴィゼーションで弾いたんですね。

結局それが良くて、ソロからボレロを感じさせるものが一切なくなってしまったんですが、

死ぬ間際に頭にボレロが流れているというシチュエーションは残しておきたいなと思いまして、

タイトルにはボレロを入れておこうと。

 

で、アルバムに入れる曲を並べていった時にですね、

日本語が入るやつが2曲ぐらいしかなく、それ以外は英語のタイトルばかりだったんですね。

 

じゃーもう覚醒を取ってボレロだけ残しちゃえということで、

曲中にはそういったものは一切出てこないのに曲名だけボレロが残っちゃったという

そういう経歴がある曲です。

 

 

〈解説:HARA〉

 

生まれて初めて作詞作曲に関わった曲です。

 

SPROCKET結成当初からメンバーそれぞれが曲を持ち寄り歌うバンドにしたいという想い

がありまして、実践してみました。

Ho_lyという強力なシンガーソングライターがいるからこそ逆にそれが必要かなと。

 

作詞作曲のスキルについてはひとまず置いといて、ノリだけで発表できちゃうのが

インディーズの利点ですね(笑)

これから時間をかけて精進していきます。

 

完成品が全くの別物になったのでバラしますが、この曲のリフはもともとNIRVANAの

「come as you are」をイメージして作りました。

開放音を多用した渋い単音リフを作りたいなと思いまして。

ただその後の展開がなかなか思いつかなくて素材だけをHo_lyに投げたところドラマチックに

仕上げてくれました。